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初版公開:2014/10/25
最終更新:
2023/05/26
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計画経済の下に工業化が進められたソ連やその衛星国にも半導体工場があり、それぞれの国で SN74N シリーズのコピー品を製造していました。型番の法則ですが、いろいろな事情があって、独自の型番が付与されているものと、オリジナルに則したものがあります。デートコード を見てもわかるように、古いバイポーラ TTL を比較的後年まで現役で使っていたことがうかがえます。どれも日本ではまず見かけることはない製造国の IC でしょう。
オリジナル | SN74N | 74LS | 74HC | 4000B/4500B | Orig. |
型番 (PDIP) |
(K1LB553) K155xxx EL7400 |
K555xxx EL74LS00 |
KR1564xxx | K176xxx (4000) K561xxx (4000A) KR1561xxx (4000B) EL4001AE |
- |
旧ソ連製の半導体については、多数の工場で国が決めた型番の IC を製造していたようです。対外的なブランドとしては ELORG (Electronorgtechnica) という名称になり、ヨーロッパを中心に輸出されていたこともあるようです。西側の IC をそのままコピーした製品がほとんどですが、型番はソ連独自で割り当てられており、合理的な規則となっています。
一般的にプラスチックの DIP は灰色〜黒色の樹脂が使用されるのですが、旧ソ連の IC はなぜか茶色〜赤の樹脂が多くみられます。茶色にする目的はなんでしょうか。顔料がもったいなかった?
キリル文字の印字されたパッケージがクールです。工場のロゴもなにかソビエトらしい雰囲気がありますね。
各工場のロゴに関しては別ページにまとめてあります。
西側の IC のロットナンバーは年-週が一般的ですが、ソ連のものは年-月(古いものは 月-年)が一般的です。マーキングは工場により個体差があります。
たくさんあるので、TTL は 74xx00 で揃えてみました。
K1LB553 / 7400N 相当品(70 年代の古い型番)
K155LA3 / 7400N 互換品
KM155LA3 / 7400J 互換品
K555LA3 / 74LS00 互換品
K158LA3 / 74L00 互換品
K131LA3 / 74H00 互換品
K531LA3P / 74S00 互換品
KR1531LA3 / 74AS00 互換品
KR1533LA3 / 74ALS00 互換品
K561LA7 / 4011A 相当品
Vdd = 3-12 V と規定されています。
西側諸国を含む国外への輸出用に、74 シリーズ / 4000 シリーズ型番の製品も生産していました。プレフィクス "EL" は "Electronorg" の頭文字と思われます。
北米向けに SOVTEK ブランドで TTL IC を輸出していたことがありました。
オリジナル | SN74N | 74LS | 74HC | 4000B/4500B | Orig. |
型番 (PDIP) |
D100D | DL000D | (U74HCT00DK) | V4001D U4001D |
- |
東ドイツは 4 箇所に集積回路工場を持っていました。ドイツといえば工業国のイメージですが、集積回路の製造開始はソビエト、中国より遅く 1971 年となっているようです。半導体部品は対外的には RFT というブランドになっていますが、旧ソ連と同様に、標準化された型名の IC を複数の工場(VEB=国営企業)で製造していたようです。1988 年の資料によると、8 社の半導体製造工場が記録されています。
HFO は東独のフランクフルトにあった工場で、1971 年に TTL IC の製造を開始しています。80 年代 - 90 年代にかけてバイポーラの汎用ロジック IC を含む多くの半導体製品を生産していました。
D100D = 7400/1981?
SN7400N 相当品。これは古いプラスチックパッケージ。
D100C = 7400J/1977?
古いセラミックパッケージ。
D100D = 7400/1982
E100D = 8400/1987
1987/12 製造の 8400N (7400N の温度範囲拡張版) 互換品。
DL100D = 74LS00/1989
最初に TTL の D100 シリーズを開発したのが IMD の前身 (AMD) でした。
D146C = 7446J
U4050D=CD4050BE/1985
中部エアフルトのコンビナートに存在した工場のようです。1971 年に MOS 集積回路の製造を開始しています。
D110C = 7410J
古い FWE 製 IC で、バイポーラなので HFO 工場の稼動開始前後の製品かもしれません。
V4001D=CD4001BE/1984
ロゴがどこか小動物みたいでかわいらしいですね。FWE では 4000 シリーズを 1981 年に製造開始しています。
74HCT シリーズは製造していましたが、74HC シリーズの方は発表されませんでした。
UWR は時計工場ですが MOS 集積回路も製造していました。日本でも諏訪精工舎が CMOS IC を作っているので、それほど意外ではありません。
HFO 1982 年製造。
HFO 1986 年製造。輸出向け製品は TI 互換の型番となっていました。
ロゴがありませんが、おそらく東ドイツの製造品でしょう。MME あるいは MPM の製造だと思います。
See Also -> TSL
オリジナル | SN74N | 74LS | 74HC | 4000B/4500B | Orig. |
型番 (PDIP) |
D100D | - | - | - | - |
Wikipedia によると、1980 年代後半に東独の IC 型番がキューバでも使われていたとあります。ピナール・デル・リオ(西部の都市)にある「電子部品会社」の製造となっていますが、どの工程からキューバで製造されたのか定かではありません。
D100D = 7400/1988?
「PR」は Pinar del Rio の略かと思います。
オリジナル | SN74N | 74LS | 74HC | 4000B/4500B | Orig. |
型番 (PDIP) |
MHA111 MH7400 |
MH74LS00 SN74LSxx |
- | MHB4001 | - |
チェコスロバキアは東欧屈指の工業国のひとつといえます。TESLA という名称は、かの有名なニコラ・テスラにちなんで付けられたようですが、公式には Technica Slaboprouda (低電流技術)の略称ということになっています。もちろん某自動車会社とは関係がありません。DDR の後継と思われる "TSL Semiconductor" との関係は不明です。
MHB111 = 7410 ハウスナンバ
オリジナル | SN74N | 74LS | 74HC | 4000B/4500B | Orig. |
型番 (PDIP) |
TL7400N 7400PC |
74LS00PC | - | (4001BPC) | - |
ハンガリーは東欧の工業国で、原料を輸入し加工して輸出するという、日本型の構造をとっていました。Tungsram は 1896 年に設立された、もともとは電球を製造する会社です。この社名は、電球のフィラメントに使われるタングステンの英語(Tungsten)とドイツ語(Wolfram)に由来するらしいです。MEV は Tungsram の半導体部門の名称です。
型番 (-PC)、パッケージを見るに、Fairchild の技術協力で作られたものなのでしょうか?
これは?
オリジナル | SN74N | 74LS | 74HC | 4000B/4500B | Orig. |
型番 (PDIP) |
CDB400E CII30 |
74LS00 | - | - | - |
IRPS Baneasa は 1962 年創業の半導体メーカで、ルーマニアのブカレスト北部に所在していました。IPRS は Întreprinderea de piese radio şi semiconductori の略とのことです。
CDB400E = 7400 互換品
オリジナル | SN74N | 74LS | 74HC | 4000B/4500B | Orig. |
型番 (PDIP) |
- | - | - | MMC4001E | - |
Microelectronica は社会主義時代の 1981 年創業、ブカレストに存在する会社で、共産圏向けに MOS/CMOS IC を製造していました。現在も存続していており、LED 製品などを製造しています。
パッケージが独特で、左下の切り欠け部分にも会社ロゴが刻印されています。
オリジナル | SN74N | 74LS | 74HC | 4000B/4500B | Orig. |
型番 (PDIP) |
UCY7400N | UCY74LS00N | MCY74HC00 | MCY74001N | - |
ポーランドは共産国家時代の 1950 年代から半導体を製造していました。IC の製造はおそらく 1970 年代に入ってから開始され、これは Unitra CEMI という国営企業が担当しています。「民主化」後は Unitra CEMI の開発部門だった ITE (電子技術研究所) が 74HC シリーズを試験生産しましたが、どうやらついに外販されなかったようです。マーキングは「CEMI」と「TOMI」を確認していますが、「TOMI」の詳細はわかりません。
UCY7406N
MCY74001N/1987
MCY74001 は CMOS 4001 相当品です。定格 VDD = 20V と、私の知る限り CMOS 4000 相当品では最も高いもののひとつです。
MCY74001N
オリジナル | SN74N | 74LS | 74HC | 4000B/4500B | Orig. |
型番 (PDIP) |
- | 1ЛБ00ШМ | CMMH2Cxx | CM14001P | - |
ブルガリアでは、主にソフィア近郊のボテフグラードの半導体工場で MOS 集積回路が作られていました。フランス CSF からの技術供与とのことです。
CM14001P = MC14001BCP
さてこの型番はキリル文字でしょうか、ラテン文字でしょうか。
1ТД74ШМ = 74LS74
CM14511P = MC14511BCP
このころ IME のロゴに変わります。
CMM01C374P/1991
これは、おそらく MM74C374 相当品だと思います。
これは SN 型番ですが TI 製ではありませんね。デートコード等の特徴からブルガリア製だと思います。
オリジナル | SN74N | 74LS | 74HC | 4000B/4500B | Orig. |
型番 (PDIP) |
Txxx?D T1000CP CT7400CP |
T2000CP CT74LS00CP |
CC74HC00CP | CC4001CP | C000 |
マーキング例 (PDIP) |
T065AD T065BD |
74LS00 | CC74HC00 | CC4001B C4001B |
C000B |
中国の IC 製造もかつてはソ連的な仕組みであったのですが、説明が長くなってしまうので 別ページを用意しました。国内の需要がほとんどだと思いますが、多少は東欧や共産圏に輸出していたようです。
T065AC = 7400 相当品