My Works
- LEDチェッカ
- 太陽電池式回路テスタ
- TTL Pong
- DSP プリセットラジオ
- 電動式 CVCC 電源装置
- OLED MP3 プレーヤ
- etc.
Report
- MIDI のハードウェア
- aitendo DSPラジオ一覧表
- etc.
Parts Collection
- Logic IC
- Calculator LSI
- CMOS Melody IC
- etc.
主な更新のみ
24/09/11
- MCU-based Melody ICs
24/08/12
- MCU-based Melody ICs
24/03/10
- Logic IC Collection
初版公開:2016/01/19
最終更新:
2023/05/26
・[2016/04/20] 工場名、略称の時代を統一
・[2017/11/19] 説明文の修正、詳細特性の追加
もちろん中国本土でも IC の製造が行われていて、1965 年からの長い歴史があります。中国でも他国と同じように TTL 74 シリーズや CMOS 4000 シリーズに似た汎用ロジック IC が作られてきました。
ソ連と同様、国家標準の型番の IC を各地に点在する工場が生産していました。ただしソ連と異なり各工場がオリジナルの IC を製造しており、また各々の工場が独自にデータブックを発行しています。汎用 IC も当初工場やその所属部ごとに異なる型番でしたが、すぐに統一規格の IC を各工場が生産するようになります。
このページでは、中国の工場で生産された古い規格の TTL/CMOS ロジック IC を中心に紹介します。
中国にも各地に数々の半導体工場があり、いくつかの工場でロジック IC が製造されていました。以下は工場別に並べています。
以下は北京东光电工の製造品です。国营第八七八厂は古い名称。もちろん日本の東光とはまったく無関係です。
T065BD ≒ 7400N
T065 は TI 社 7400 相当の TTL ですが、特性が異なります(後述)。Quad 2-Input NAND、中国語では「2輸入端四与非門」となります(ちなみに OR ゲートは「或門」)。
T065BE ≒ 7400J
上記 T065 の CDIP パッケージです。
T217BC ≒ 74192
軍用 CDIP (Side-Brazed DIP) パッケージのサンプルです。赤文字というのが実に中国的だと思います。
T217 は 74192(二-十進制同歩可預置加減可逆計数器)のピンコンパチですが、特性が異なります(後述)。
DG7400 = 7400 互換品/1985
中国独自型番のほかに 74 シリーズ型番の IC も見られます。こちらは TI 社 7400 と同じ内部回路になっています。
C031BE = Dual 4-Input AND
C031 は CMOS の Dual 4-Input AND なのですが、ピン配置は TTL の 7421 とコンパチブルになっています。
C061BE = Dual 4-Input AND
C061 は C031 と同じピン配置、同じ機能ですが特性が異なります。
C033BE = Hex Inverter (4069A)
DG14069BD
CMOS ロジックでは 4000B/4500B シリーズ互換 IC も多く製造されていました。
DG4001BE
DG324
北京東光のロゴは上記、電工の「工」をベースにしています。ロジック IC にはあまり見られません。
北京市半导体器件二厂は北京市にあった半導体工場のひとつです。現在は北京燕东微电子という会社になっているようです。ロゴは漢字の「北」と「二」を意匠化しています。
T065BC/1983
T072BC/1984
北京市半导体器件三厂は CMOS IC や HTL IC を中心に製造していた北京の工場です。宇翔电子はこれらの国営工場をルーツとする半導体製造会社で、現在も軍事、衛星、通工用の CMOS 半導体を製造しているようです。
CC4098BC/1984
このクロワッサン松明ロゴ(火炬图)は北京市半导体器件三厂時代のものでしょう。
SM3222H4 = Dual 4-Input NAND/年代不明
SM シリーズは古い規格の TTL IC で、規格上は Flatpak のみであるにも関わらず、各工場独自のパッケージが存在します。
BH015B = 8-Bit Decoder/1985
工場独自の CMOS ロジック IC。ただし機能は海外製を参考にしています。
CC4001/1997
軍用 CDIP パッケージの 4001 です。
BH54HC123/2000
こういう Si ゲート CMOS は入手困難です。
CC4013/2008
これは 2008 年製造品です。
北京市半导体器件五厂は北京市にあった半導体工場のひとつです。電源 IC 製品を多く製造していました。
CC4510/1985
北京前门器件厂は PMOS、CMOS IC を製造していた工場です。詳しいデータがありません。
5C277
5C4511/1984
BG575 = D-FF
上海元件五厂は 1966 年に中国ではじめて TTL IC を製造した工場です。 1970 年代から MOS 集積回路を中心に製造しており、1980 年にはすでに CMOS ロジック IC の製造を開始しています。
C183BD = 4-Bit Binary Counter (CD4520 相当)
CC4060BD
5G4511/1983
上海无线电七厂は、1960 年に設立された华コ工厂という工場を前身とする工場です。上海には多数の電子部品工場があり、60 年代にナンバリングされるようになっています。TTL のほかリニア IC も製造していました。
T108BC = J-K FF/1984
漢字の「上」をもとにしたロゴが特徴。「上字器件 質高価廉」だそうです。
上海无线电十四厂は中国で最初の pMOS IC を製造した工場です。1968年のことです。現在は双岭电子という名称のようで、2つの峰が描かれたロゴ(双岭牌)が描かれています。CMOS IC が中心製品でした。
BL8530 シリーズなどの CMOS 半導体を製造する上海贝岭 (Shanghai Belling) という会社の母体はこの十四厂にあたります。
C039BC = Quad 2-Input NOR (74C02 相当) /1984
これは上无十四厂時代の製品です。
C031B = Dual 4-Input AND/2011
おそらく最近の双岭电子の製品(または、保守用のリマーク品か?)なんと 2011 年製です。
CH4071B = CD4071AF 相当/1984
上无十四厂の 4000 シリーズはプレフィクス CH です。データシートを見ると電源電圧は 7-15V なので、これは A シリーズ相当品です。
CH4009B = CD4009AE 相当/1987
この PDIP パッケージは双岭オリジナルで、裏側にロゴの刻印があります。
上海にあった工場のうち、この上海无线电十九厂では主に TTL ロジック IC の生産が行われていました。1970 年に上海元件五厂から独立されて設立された工場です。70 年代には北の北京东光、南の上无十九厂と並びたてられるほど、重要な TTL IC の生産拠点でした。
T216 = Decade Counter/1980
T336 = Dual 2-4 Demultiplexer/1979
十九厂の古いロゴです。この IC は 74 シリーズに相当品のない、中国オリジナルの品種です。よくみるとピンが 18 本あります。
T068BC = 7422 相当/1982
T063BC = 7420 相当/1984
T065 = 7400 相当/1991
このロゴ(一九牌)は漢数字の 1 と 9 をモチーフにしています。これは保守用のリマーク品かもしれません。裏を見ると「TAIWAN」とあります。
T065BE = 7400 相当/1991
このロゴ领航牌も上无十九厂のICに見られます。
LH74LS165/1987
T332 = 7445(OC BCD-to-Decimal Decoder)/1984
T332 のピン配置は 7445 互換ですが、出力は 60V 7mA でありちょうど 74141 を弱くしたような特性です。
天光半導体は、国営第871工場がルーツとなっている企業です。ほとんどの中国半導体工場が東部に位置する中、この天光半導体は甘粛省の天水市に位置しており、 IC 製造工場としてはめずらしく中国西部にありました。現在も存続しているようで、主に軍用、通工用の TTL/ECL IC を製造しています。
CT74LS00/1984
CT74LS153
江蘇省常州市の常州半導体も元々は国営工場で、1966 年からの歴史を持ちます。ここは名門といった感じがいたします。1984 年当時で 74HC 相当の高速 CMOS IC を製造しており、技術的にも進んでいたようです。比較的最近まで汎用ロジック IC を製造していたようですが、昔あったウェブページが無くなっているので会社も現存しないのでしょう。
T1000 = 7400/1990
T065AC = 7400 相当品/1992
T065BC = 7400 相当品/1985
LCB4098B = CD4098B 相当品/1984
プレフィクス LCB は CMOS B シリーズ相当品です。L は工場のロゴ兰菱牌の頭文字だと思われます。
苏州半导体は古くから IC を製造する半導体工場です。同工場の光半導体製品はよく見かけるのですが、ディジタル IC は製造数の割に見かける数が少ない印象です。
C4001/1989
裏側に工場のロゴ(瑞光牌)があります。
以下のものはロゴから南京晶体管厂と推定しますが、南宁巿无线电一厂とか辽宁无线电一厂の製品かもしれません。どうも北京・上海以外は資料が乏しく…。
T072BC/1984
天津半导体器件一厂は天津市最大の半導体工場で、TTL IC が主要産品です。天津市にはほかにも半導体工場があり、四廠では PMOS、九廠ではハイブリッド IC を製造していました。ロゴは漢字の「天」をもとに(天半牌)しています。この工場の IC の印字は手書きのように見えます。
TB7420B/1981
TB7437/1982
T065BC = 7400 相当/1982
TB7406/1983
SC311C = Single D-FF
これは工場独自の型番です。
福建省の三明市明渓県に存在した国営八四三〇厂の製品だと思います。TTL、CMOS IC などが主要産品だったようです。
T4122 = 74LS122/1982
以下は同じ工場かどうか、はっきりしません。
74LS37
74192
CD4517B
T1173AD = 74173
貴州省凱里市に所在した永光电工厂という工場は、1966 年に設立された国営第873工場をもとにしています。CMOS および TTL ロジック IC、リニア IC を製造していました。Web の情報によると、現在は貴州省貴陽市に移転して、振華集団傘下の永光电子という名前になっているようです。永光も天光と同様、内陸部に位置する工場です。
T060BC = 7430 相当 /1980
貴州省都猿sにあった风光电工厂は、もと国営四四三三厂 であり、主にリニア IC を生産していました。三線建設(戦争に備えて内陸部に工場を建設する計画)により僻地に建設された工場といわれています。
FX555 = NE555 相当品/1983
FX555 PDIP 版/1995
555 は TTL IC と一緒に使われることも多いので、このページに紹介しても良いでしょう。中国でも 555 はポピュラな IC で、556 や 7555(CMOS 版) もいくつかのメーカにより製造されています。
湖南省の長沙市に存在した国营韶光电工厂(もと国営长沙四四三五厂)です。TTL IC などが主要産品だったようです。
T063BC/1982
SG74S00/1983
SG7400/1984
SG74LS20/1983
T065BC = 7400 相当品/1985
T095AC = 74H00 相当品/1984
陕西省西安市に存在した国営延河无线电です。資料によって西安航天部六九一厂とありはっきりしないのですが、本稿では同一の工場とみなしています。
T1008BC = 7408/1983
C40106 = CD40106B 相当品/1984
江西省南昌市にあった国营七四六厂では CMOS IC を製造していました。
ZC4066C/1985
サフィクスの Z は 钻石牌 (Zuan shi = ダイアモンド) の頭文字から取ったものかと思います。
四川省(当時)重慶市にあった四川仪表(儀表=計器)第六工場は、TTL IC などの半導体を製造する工場でした。
YT7400B
ロゴは計器を表し、Y は儀表 (Yi biao)の Y でしょうか。
CC4053EP = CD4053B/1991
T065BCJ = 7400 相当品/2009
中国製 IC の型名付与規則は中国の国家標準により決められています。古い規格では以下のような型番構成となっています。このほか、工場独自の型番の IC や工業部の標準規格が存在します。
T 065 B D
[1] [2] [3] [4]
[1] 種類 T: TTL / H: HTL / E: ECL / I: I2L / P: PMOS / F: リニア など
[2] 型番数字(3桁)
[3] パラメータ A / B / C; A よりB の方が高速、B より C の方が高速
[4] 外形 A: Flatpack / C: SBCDIP / D: PDIP / E: CDIP
この他に類別があり、I類 / IA類 / II類 / III 類に分けられ、温度範囲を規定します。
C C 4001 C P
[1] [2] [3] [4] [5]
[1] 国家標準表示 "C" 1文字
[2] 種類 T: TTL / C: CMOS / E: ECL / F: リニア / D: オーディオ・ビデオ関係 など
[3] 型番数字
[4] 温度範囲 C: 0-70℃ / E: -40 - 85 ℃
[5] 外形 D: CDIP / P: PDIP など
T000 シリーズ基本回路
初期の TTL シリーズで、TI の SN74N 相当品および 74H 相当品が混ざっています。基本回路が異なるので「互換品」ではありません。型番も「ハウスナンバ」です。中には、もとの 74 シリーズにない機能のものまで存在します。基本回路は 74 シリーズより複雑ですが、動作特性を見ると 74 シリーズよりもやや遅くなっています。
参照した資料には、1977 年以降は以下のシリーズが存在するとあります。しかしながら、この T000 シリーズ型番でしばらく製造が続けられていたようです。
T1000 シリーズ基本回路
TI の SN74N 互換品です。品番は TI 製品に準じます(たとえば CT1074CP = SN7474N)。
74H シリーズ互換品です。
74S シリーズ互換品です。
74LS と同様の、ローパワー・ショットキー・シリーズです。つまり、消費電力は T1000 シリーズの 1/5 で、動作速度は T1000 シリーズと同等かやや高速になっています。
1982 年の規格では、74 シリーズ型番表記をするようになっています。(たとえば CT7474CP = SN7474N)
標準化された最初の CMOS シリーズで、ピン配置は 4000 シリーズや 74 シリーズを参考にしているようです。型番はハウスナンバです。
電源電圧の異なる品種が混在しており、たとえば C009: 8-12V、C039: 7-15V、C069: 3-18V です。それぞれ、RCA 社 4000 シリーズの 4000、4000A、4000B に対応します。
CMOS 4000B / 4500B シリーズの互換品です。
CMOS 74HC シリーズの互換品です。