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高性能LEDテスタ の製作

初回公開:2012/12/23
最終更新: 2023/05/26


 
(外観)            (計測時:測定電流とVf(順方向電圧)を表示)

LED に適切な電流を流しその状態をチェックする機器をここでは「LED テスタ」と呼ぶことにします。

今回は少し凝った「高性能LEDテスタ」なるものを作って見ました。以下のような、市販されている簡易 LED テスタにはない機能を持ちます。

  1. 2 系統の定電流駆動出力
  2. 1 mA 単位で 20 mA まで設定できる駆動電流
  3. Vf(順方向電圧)、If(駆動電流)を表示
  4. 逆接続保護機能

タイトル写真のように、複数の LED を光らせて遊ぶのみならず、極性の判定、Vf の選別、輝度の選別など、いろいろな状況で役に立ちます。(LED は同一ロットでも意外と個体差は大きいです!)。2 系統の LED の Vf が 10mV の分解能でリアルタイムに表示されるので、非常に便利です。

LED を逆挿ししても大丈夫なように設計されているので安心です。(粗悪な LED テスタでは逆挿入時に 9V 以上の電圧が加わり、LED にダメージを与えます。)

一般的な単3 電池を 2 本だけ使用しますので経済的です。AVR マイコン使用で回路もシンプルなので、秋月のポリカーボネートケースにぴったり収まります。

基本仕様

プロジェクト一式・ダウンロード

詳細説明

マイコンなど

上図にブロックダイアグラムを示します。MCU には使い慣れた AVR マイコン ATMEGA8 を使用しています。外部とのインタフェース、PWM 出力、LED 電圧の ADC、LCD への情報表示が主な仕事です。 LCD はポピュラーな SC1602 互換のパラレル接続 16x2 キャラクタ液晶が使えます。

LED 駆動方法

LEDの駆動回路としては図1の回路が一番に挙げられます。もちろん、一般の表示用途ならこれで充分ですが、逆接続などのシチュエーションが考えられる LED テスタとしては不適です。(しかしながら安い LED テスタでは、このような回路を採用している例もあります。)LED テスタの使用シチュエーションとして、定電流で LED を駆動した上で輝度の比較や Vf(順方向電圧)の計測を考えると、図1の回路では以下の 2 点の問題が生じます。すなわち、

  1.  If(駆動電流)が LED の Vf に依存してしまうので、定電流駆動とすることができない。
  2. LED を逆接続したとき、電源電圧に近い過大な逆電圧が加わり、LED にダメージを与える可能性がある。

そこで、もう少し凝った回路を考えてみたいと思います。

(図1)

図2は定電流駆動にして、問題 1 を解決した回路です。Tr1 の Vbe は定数とみなし、充分に大きい hfe を仮定すれば、If は Vf に依存することなく決定されます。しかしながらこの回路でも上記 問題 2 は解決されません。LED テスタを使用する上で LED を逆接続してしまうことも多いでしょう。このときに問題になる様子を詳しく見てみましょう。

(図2)

図3は図2の回路でLED を逆接続した場合です。図に示すように、LED の逆方向に 電源電圧とおよそ等しい電圧が加わってしまいます。一般に LED の逆方向耐圧は4〜5 V しかありませんから、それ以上の電圧源(9V 電池など)を電源として用いると LED の故障に繋がります。安物の LED テスタではこのような回路になっていますが、接続を間違えると LED に最大絶対定格以上の電圧が加わるなんて、テスタとして失格です。

(図3)

上記問題を克服するため、このLEDテスタでは、図4のような回路によって駆動しています。電圧 Va はマイコンによって次のように制御します。

  1. 常に LED の接続を検知して(方法は後述)、LED が順方向に接続されているときのみ Va > 0 として、それ以外で Va = 0 に制御するものとします。
  2. LED が逆方向に接続されているとき(図4下側)、LED は開放とみなせるので、LED にかかる最大電圧はVcc と R2、R3 の分圧回路で決まります。
  3. したがって、LED の逆耐圧を超えないように R2、R3 を適切に決定すればよい。

このように、図4のような回路により、逆接続時にLED の耐圧を超えないにもかかわらず、比較的高い順方向電圧をもつ LED の点灯にも対応できます。


(図4)

R2 と R3 は接続検出用と開放電圧調節用を兼ねています。LED の順接続時(図4上側)では、LED には Vcc とR2、R3 の分圧回路で決まる正の電位が加わるので、LED のインピーダンスは比較的低くなり、R2、R3 の中点電位は上昇します。この電位上昇を検出すれば、LED の順方向接続を検出することができます。

本回路の構成(Vcc = 5 V, R3 = 2 * R2) のとき、逆接続時の端子電圧は 約 3.3 V に抑えながら、Vf ≒ 4V 程度の LED も駆動できます。Va の電圧は マイコンの PWM によって生成します。実際の回路では、Tr1 のベース電流 Ib が Vbe の値や If の式に影響するので、これらを打ち消すためにオペアンプによるフィードバック回路を構成しています(図5)。


(図5)

LED の検知は、R3 と R2 の接続点の電圧 (Vb) をセンスすることで行います。LED の順方向電圧グラフを見ると一般に、Vf > 3.3V @ 20mA の LED でも Vf < 3.3V @ ~0mA となっています。Va = 0 のとき開放電圧は約 3.3V ですから、 LED を接続すると R2 を通して LED に微弱電流が流れようとするので、Vb は上昇することになります。したがって、Vb がしきい値以上に上昇したことをもってLED の接続を検出することができます(注)

(注:ダイオード以外の素子の接続は仮定していません。)

接続端子

LED との接続端子として、他の製品や製作例では、ピンソケットやゼロプレッシャーソケットの利用が見受けられます。挿抜回数やコストなどの観点から、今回の製作ではジャンク箱にたくさんあったカードエッジコネクタを使ってみました。金メッキの両側端子で、ピッチが少し広い以外は良好に使用できています。


(カードエッジコネクタ KEL 製)