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マイコンを使わない DSP プリセット・ラジオの製作

初版公開:2015/01/08
最終更新: 2015/01/08


最近、ディジタル信号処理 (DSP) で検波・増幅を行う「DSP ラジオ」の IC を使った電子工作が流行ってきました。

ダイヤルによりコントロールするタイプの DSP ラジオモジュールがあります。外付けの可変抵抗やバリコンとスライド SW により、スタンドアローンに操作するというものです。これは簡単に DSP ラジオを構成できるのですが、参考回路のまま作るのではいまいち面白みに欠けます。

DSP ラジオには「チューニングのシビアさ」があります。検波に変調波と同じ周波数が必要なので、アナログのラジオに比べると、目的の周波数を選局するために微妙なダイヤル操作を要求されます。せめてプリセット選局くらいできないと、せっかく製作しても作って終わりの「おもちゃラジオ」になってしまいそうです。

もちろんマイコン+DAC で簡単なプリセット選局は可能ですが、マイコンを使うのであれば明らかに I2C などのインタフェースで制御できるモジュールを使用するべきです。このような IC はスタンドアローン動作をさせるために作られたものなので、インタフェース用に数個の IC を追加することは良しとしても、「マイコン不使用」は絶対条件としたいところです。

今回は、マイコンを使わないで、プリセット選局可能なラジオを作ってみました。ワンタッチで選局のできる実用的なラジオが、面倒なマイコンのプログラミングなしに製作できます。

Spec.

Downloads

Details

外観

これはテスト時の写真なので、ワニ口クリップから給電しています。写真に見える10 個の照光スイッチにより選局を行うわけですが、マニュアル選局(右のダイヤル)にも対応しています。中央付近の赤い LED は選局バンドを示しています。写真にありませんが、背面にはプリセット周波数を決める多回転VR が 9 個実装されています。他に表示器を持たないので、それぞれの選局周波数などは紙に印刷して差し込んであります。

内部基板

プリセット選局のしくみ

今回使用した M6959 というモジュールの IC (AKC6959) は、TUNEIN 端子に入力された電圧 (0.5-1.5V) を IC 内部で一旦 AD 変換した上で、内部の制御レジスタに書き込むことでチューニング動作をしているものと推測されます。したがって、選局スイッチに応じてこの TUNEIN 電圧を変えてやる回路を作ることで、プリセット選局を実現できます。

今回の肝となる三菱の M54834P という IC です。まさにテレビやラジオの選局用につくられた IC で、入力の値に応じて O1 - O14 端子のうちどれか 1 つに "L" を出力します。内部的にはシフトレジスタと発振回路で構成されています。これはかなりレアな IC なので新品の入手は難しいかもしれませんが、いくつか予備があるので頒布が可能です。

回路図に示すように、多回転 VR とダイオードアレーでチューニング電圧を決定します。M6959 の アナログ入力は作動入力(GND 基準ではないという意味)なので、この チューニング電圧 は後段の OPAMP で TUNEIN 電圧に変換されます。実測したところ GND からみた基準電圧(VREF_N / VREF_P)は変動が激しいので、このような構成にしないと経年変化が大きくなってしまいます。さらに経年変化を小さくするには、簡単なダイオードアレーを止めて、4066 などのアナログスイッチで電圧セレクタを構成すべきでしょう。

プリセット選局のほかにマニュアル選局も可能にしています。スイッチの数を減らすために 4 つの選局バンドに対して 1 つのスイッチしか割り当てていません。つまり、マニュアル選局ボタンを押すごとに、FM->MW->SW1->SW2->FM とバンドを遷移する仕組みになっています。これは、回路図 M54834 左側のロジック回路で実現しています。

M6959 の位相反転問題

M6959 はオーディオアンプを内蔵しており、ステレオの音声出力が可能ですが、両方の ch で電圧が反転されています。こうすることで L-R が丁度 BTL 動作のように出力の DC バイアス電圧をキャンセルできるので、単一スピーカ動作時のカップリング・コンデンサを省略できるわけです。しかしながら、ヘッドホンなどを使用する場合では、両耳の位相が反転されているので、聴感上の違和感を感じるという欠点があります。

不本意ながら、この問題は OPAMP(M5218) を 1つ追加することで解決しています。当然ながらこの回路はヘッドホンアンプも兼ねています。部品選択によっては、出力 Tr のエミッタに 2 Ω程度の抵抗を追加すべきかもしれません。なお 4558 や 358 は使用不可です。

DSP ラジオの ダイヤル選局について

例えば FMバンド (76.1-89.9MHz) には選局周波数の候補が 139 個あるので、操作角 270 度の一般的な 1 回転ボリュームでの操作を考えると、1 周波数あたり 2 度未満の割り当てとなる計算です。これでは普通のボリュームやトリマで選局を行うことは難しいと考えられるので、選局用には多回転 VR が適当です。

写真はダイヤル付きの 10 回転ポテンショメータで、ジャンクで手に入れた物を修理して再利用しています。周波数のかわりにダイヤルの数値を使うことで、VR によるマニュアル選局が効率的に行えるという算段です。