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DSP-444 改造 DSP ラジオの製作

初版公開:2014/03/24


DSP444 (DSP443 も同様) は aitendo で手に入るポピュラーな DSP ラジオモジュールであり、このサイズでありながら FM・AM・SW の3 波が受信できます。しかしながらいくつかの理由によりこれまで購入を見送っていました。

  1. 適合するバリコンダイヤルが手に入らない
  2. いくつかのレビューによると、チューニングがシビアであるらしい
  3. 受信バンドの選択 IF がいまいちである
  4. デジタルチューニングでなく、つまらない

ところが正月に aitendo の福袋を購入したところ、このモジュールが入っていました。インターネットの情報によると内部的には DSP6919 という IC のようです。そこでこの IC のデータシートを入手しよくよく見ると、このモジュールは可変抵抗チューニングに改造できそうです。多回転 VR を使用することで上記 1, 2 の欠点は解決できます。

またバンド切り替えに関しても、販売ページの参考回路図のように DIP スイッチを使用するものはインタフェースとして不適切のように思います。そこで AVR マイコン (ATtiny2313V) を使って、1 つのボタンで受信バンドを変更できるようにしました。

上記の改造を施すことで、非常にシンプルな見た目のラジオが出来上がりました。今回は TAKACHI のSW-95 という小型ケースに組み込んでみました。

仕様

プロジェクトファイル・ダウンロード

詳細説明

DSP-444 モジュールの改造

このモジュール(DSP-444)は可変コンデンサ (VC) を調節することで受信周波数を変更しますが、この VC の容量によって受信波を同調しているわけでも、IF 周波数を調節しているわけでもありません。ラジオの受信周波数は IC の1つのピン(TUNE)の DC 電圧によって決定されます。モジュール上で TUNELDO 出力がコンデンサ C1  と VC (C2)とで分圧され、TUNE ピンに加わる形になっています(上図)。TUNELDO 出力は 1.5V p-p の矩形波であり、TUNE ピン入力は C1 と C2 の容量比で分圧されるわけです。

したがって C1 を取り外し TUNE ピンに可変 DC 電圧を入力すればチューニングできそうです(回路上 C2 取り外しは難しい)。実験の結果、低インピーダンスで接続すればチューニングは可能であることがわかりました。どうやら TUNE ピンを出力として使って何らかの制御をしているようです。本製作例では多回転 VR + Tr バッファの 2 段構成で制御することにします。

以上を踏まえると改造手順は以下のようになります

1.C1 を取り外す 

2.バッファ回路を組み、図のように接続する 

なお回路図中 ZD は調整電圧が電池の消費に伴って変化することを防止するためのものです。これには適当な緑色 LED が使用可能です。(IC の内部動作がわからないので適切かどうか定かではありません。もしも IC 内部で基準電圧を生成していないならばむしろ無い方が良いかもしれません。)

DSP-443 も同様にして改造できると思います。

チューニング用可変抵抗

いくつかのレビューの通り、このモジュールのチューニングは非常にシビアです。したがって VR としては細かい調節の可能な多回転型が必要になります。しかし手で回すための多回転型 VR の多くはバーニヤダイヤルを必要とする大型のものなのでポータブル・ラジオには不適切です。そこで耐久性を犠牲にして小型のポテンショメータを使用することにします。今回はコパルの RJ-9 という側面調整型の 16 回転 サーメット・ポテンショメータを使用しました。スペック上の耐用は 200 回までとなっていますが、日本製の過剰品質に期待・・・しておきます。上の写真のようにたくさんあるので、壊れたら取り替えることにして割り切ります。

さすがにチューニングの度に毎回ドライバを用意するわけにはいかないので、簡単に調節できるような方法を考える必要があります。あまり褒められた方法ではないのですが、上図のように適当な金属片を操作部に接続して手回し可能にします。近くに真鍮製のスペーサがあったのでそれをくっつけてみました。

バンド切り替え

マイコン(ATtiny2313V)によってバンド切り替えを行います。スイッチを押すごとに(FM -> AM -> SW1 -> SW2 -> SW3)の順番にバンドが切り替わります。

電池電圧を直接使用する都合上、マイコンとして 1.8V まで動作する ATtiny2313V あるいは ATtiny2313A が使用可能です(秋月電子で売っている ATtiny2313 は不適です)。

受信中のバンドは LED に表示されます。また、LED の小数点は受信中(TUNE 表示)を示します。

ケース組み込み

TAKACHI のSW-95 という小型ケースに組み込んでみました。このケースの寸法では単三電池用の電池ボックスが入らないのですが、aitendo などで売っている 電池タブを直接使うことですっきりと電池を組み入れることができます。ロッドアンテナは丹青通商の店頭に売っていたものを使いました。バーアンテナはアイコー電子の BA-200 です。

格好はよくありませんが、チューニングインタフェースは上の写真のようになりました。金属片をくるくる回すことで各局チューニング可能です。